葬儀の司会者が気をつけるべきこと

「これより御導師の入場となります。皆さま、ご起立を願います」から
始まる葬儀の司会者の役目は、式がスムーズに進行できるように導くこ
とです。葬儀の司会は普通のナレーション業務とは違い、厳粛さを求め
られるので難しいところがあります。

結婚式の披露宴では、多少のミスがあったとしても「おめでたい席に免
じて」と許してもらえることがありますが、葬儀の場では決してミスが
あってはなりません。小さなミスが葬儀全体を壊してしまうこともあり
得るからです。

葬儀の司会者は、遺族に代わり、会葬者に故人のことを伝える役目もあ
ります。遺族の心情や想いをくみ取り、細心の注意をはらって司会進行
に努めなければなりません。故人も遺族も以前から知っている訳ではあ
りません。

亡くなってから式までの短い時間の中で、綿密に打ち合わせをし、式の
流れや内容を確認して、式で紹介することなどを考えます。だいたいの
葬儀社では、葬儀社のスタッフが司会者を兼ねています。人件費の面で
自社で執り行うという意味もありますが、故人が亡くなった段階から遺
族と接している担当スタッフが一番、家庭の事情にも明るいからでもあ
ります。

同じ会社内のスタッフは、担当者から遺族の事情を詳しく聞くことがで
きる上、司会者は接客スタッフの補助をする役目もあるため、他のスタ
ッフとも意思の疎通を図って式を進められるという利点もあります。

しかし、葬儀専門の司会者を派遣する人材派遣会社を通じて司会者を頼
む葬儀社もあります。派遣されて来る人はセレモニースタッフの研修を
し、実績もある人。葬儀司会者を外から頼む場合の良いところは、プロ
の司会者ということで葬儀全体が引き締まってくることです。

葬儀に行くと涙を誘われるような印象的なナレーションが流れることが
あります。声の出し方や間の取り方は厳粛で「これぞプロ」というよう
な独特の話し方で感心します。しかし難点もあります。司会のプロであ
ればあるほど司会者の方が式の前面に出過ぎてしまうということです。

あまりに大げさな表現や、美辞麗句を並べ過ぎて、会葬者が引いてしま
う場合も出てくる場合もあります。遺族にしてみれば、葬儀の司会はと
ても重要なことなのですが、葬儀までの時間もなく、気持ちも平常では
ないため、葬儀の司会者のことまで頭に入っていないのは当然。

そうなると、葬儀社が選んだ司会者に委ねるしかないのです。

結婚披露宴の場合は、式のずいぶん前から司会を誰に頼むか、またプロ
の司会者にお願いするかなど、結婚式場のスタッフとよく相談して決め
ます。同じように人生最期の大イベントである葬儀も、遺族が司会者を
選んでも良いのではないでしょうか。そういう余裕がない場合でも、良
い葬儀、納得の行く葬儀を行うためには、司会者との打ち合わせはでき
るだけしっかりして、故人のことを知ってもらうことが大切です。

葬儀の司会者の最大の任務は、会葬者や遺族を感動させることではなく、
故人を想う人々が最後にかけたい言葉を、どのように代弁するかという
ことなのです。

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