宅地の相続には最大80%割引の特例が適用されることが・・・

日本人が保有する財産のうち、60%以上が不動産と言われています。

そしてそのうち宅地については、一定の条件を満たせば「小規模宅地等の評価減の特例」を相続時に受けることができるのです。亡くなった被相続人が事業用や居住用に使用していた土地は、財産である前に生活の基盤です。それに高額の税金を課してしまうと、それを相続した方の生活を破壊する可能性があるため、減額措置が例外的に認められているのです。

被相続人が土地を持っていた場合、この特例はほとんどの場合適用され、当該土地の評価額が最大80%減額されます。仮に相続財産に評価額1億円の土地があった場合、この特例により、評価額を2000万円まで減額できるのです。相続財産のほとんどを土地が占め、そのままの評価額ならば高額の相続税が課される場合でも、この特例が適用されることで、大幅な節税効果が期待できます。

この特例が適用されるためには、後述する4つの土地で、それぞれの適用条件、評価減の割合、限度面積が規定されています。

まず1つ目は特定居住用宅地の場合です。これは被相続人の居宅として使用されていた宅地のことで、以下のいずれかの条件を満たした場合、240平方メートルまで80%の減額となります。

その条件とは

①配偶者が相続する

②被相続人と同居していた親族が相続をし、申告期限までその宅地を所有し、居住用に使用している

③配偶者も同居する親族もいない場合、相続開始から遡って3年以内に持ち家がない親族が、その宅地を取得し、申告期限までそのまま所有する

という、いずれかになります。

③について例を挙げれば、父の死後に大阪の実家を相続した母が一人暮らしをしており、子供が京都の社宅で生活していた場合、母が他界した後、実家の宅地を相続し、10カ月そのまま所有を続ければ適用されます。

2つ目は特定事業用宅地です。これは自営業を営んでいる方が工場や店舗の敷地として使っている土地のことで、以下に記述する要件を全部満たした場合、400平方メートルまで80%の減額になります。

その要件は、

①事業を受け継ぐ親族がいること

②事業を受け継ぐ親族がその宅地の少なくとも一部を取得し、10カ月後の申告期限まで事業を継続していること

以上の2つです。

このうち事業を受け継ぐとは、「事業主になる」ということを意味します。例を挙げるとすれば、被相続人が工場を経営していたが、一人息子はサラリーマンとなっていた場合。この場合、息子が事業主となれば、実際に仕事をするのがその工場の従業員でも、特例が適用されます。

3つ目は特定同族会社事業用宅地です。これは被相続人または被相続人と生計をともにする(一緒に住んでいると考えれば間違いではありません)親族が持っている株の割合が5割を超える同族会社の事業用に貸していた宅地を指します。そして後述する要件全部を満たしている場合に、400平方メートルまで80%の減額を受ける事が出来ます。

その要件は、

①その後も引き続き同族会社の事業用にその宅地を使う

②その宅地を同族会社の役員である親族が取得し、相続税の申告期限までそのまま所有する

以上の2つです。

典型的な例はオーナー社長が自分の土地を、自分の会社に貸しているケースです。

4つ目は貸付事業用宅地です。これはアパートなどの貸家建付地、舗装してたり屋根を添え付けている駐車場などを指します。後述するすべての要件を満たした場合に、200平方メートルまで50%の減額となります。

その要件は、

①貸付事業を引き継ぐ親族が存在する

②①の親族が、当該宅地の一部または全部を取得し、申告期限まで事業を継続する

以上の2つです。

この小規模宅地等の評価減の特例を受ける為には、相続税の申告期限、つまり被相続人の死を知ってから10カ月以内に遺産分割協議を終了させる必要があります。さらに特例によって相続税を納めなくて良い場合でも、相続税申告書を出さなければ、特例を受けることはできません。

仮に申告書の提出後にこの特例の対象になることを知った場合はどうなるのでしょう?その場合は、申請の更正請求をして、減額分を還付によって受けることが可能です。

前述した要件を満たすことができなかった宅地について、平成21年までは救済措置がありましたが、平成22年の法改正により現在は救済措置そのものが無くなっています。

そうは言っても、この特例は不動産を相続する場合は、たいへん魅力的な節税効果をもたらしてくれます。この特例をうまく活用するのが、相続税の節税対策の決め手になると言っても過言ではないでしょう。

最後にご高齢の親をもつ方に付け加えたいことがあります。父母の一方が亡くなり、残された方の親が自活できなくなった場合の介護施設の選択についてです。その親御さんが例えば有料の老人ホームに入居し、そこで亡くなったとします。その場合、その親御さんの「住まい」は老人ホームと認定され、特定居住用宅地の評価減の特例を受けられなくなるのです。残念ながらこれは最高裁の判例が出ていますので、注意しなければなりません。

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