生前贈与の大幅緩和措置を知っていますか?

平成27年から相続税は、大幅増税が見込まれる一方、贈与税については逆に大幅な緩和措置が盛り込まれています。

贈与税については、一般に相続税を補完するモノと認識されていますが、相続税より高い税率が贈与税にはかかってきます。さらにいったん贈与税を支払っても、被相続人が亡くなる前3年間に行った贈与に関しては、相続財産としなければならないのです。

これに対する不公平感是正のため、平成15年度税制改正で「相続時精算課税制度」が設けられました。この制度は、相続財産と贈与財産を合計して税額の計算をするもので、この制度を使うと贈与財産2500万円までは非課税となります。

ちなみにこの2500万円を超えると、超えた分には一律20%が課され、仮納税してから相続時に清算することになります。そして相続が発生したら贈与財産を相続財産に加えて納税することになります。

よって、相続財産に生前に贈与された2500万円までの財産を含めた場合、相続税が課せられないのなら、2500万円分の財産を課税されることなく贈与できるということなのです。

この制度は相続人となる側が使うか否かの選択権を持つのですが、これまで広く活用されてはきませんでした。ですが、政府の「社会保障・税一体改革素案」で、税率や適用対象者について大幅に緩和されるのが確実となったのです。そのため、贈与について多くの方が相続税対策の一環として利用されることが考えられます。早い話が親から子への資産移動がやりやすくなったのです。

それでは、生前贈与を利用して得をするのはどんなケースなのでしょうか?政府の素案では、相続時精算課税制度の対象者の拡大が記載されています。贈与者で言えば現行「65歳以上の父母」から「60歳以上の父母」となり、受増者側も現行「推定相続人である20歳以上の子」であったのが、それに「20歳以上の孫」が加えられました。

親が60歳を超えていれば、この制度を利用すると2500万円まで贈与しても非課税となります。ですが、急いで実家の不動産などを贈与されると、相続後思わぬ損を出す可能性があります。

仮に評価額2000万円の実家の土地建物をこの制度を利用して贈与してもらったとしましょう。贈与を受けてから10年後、親御さんが他界され、いざ相続となった時、実家の土地建物も相続財産としなければなりませんが、この時の価格は親御さんが他界した時の価格では無く、10年前に贈与してもらった当時の評価額なのです。10年経過していれば土地はともかく建物は経年劣化で資産価値が下落しているはずです。

もし親御さんの死亡時に実家の不動産の評価額が1000万円下落していても、相続財産を計算するときに用いるのは、10年前の評価額2000万円なのです。早い話が、1000万円まで下落した不動産を2000万円で相続することになり、その差1000万円のために、相続税が高くなる可能性があるのです。

その逆に、収益性がある不動産ならば、この制度の活用は有効な相続税対策になります。

例を挙げるとすれば駐車場やアパートなどです。親が年間400万円の家賃収入があるアパートを所有していたとします。アパートの評価額が土地8000万円、建物2000万円で、土地の名義は親御さんのまま、建物の名義のみ贈与してもらいます。家賃収入は土地ではなく建物の収入ですから、家賃はすべて建物の所有者へ行きますので、10年間で、ざっと4000万円の収入になります。

10年後、親御さんが他界され、2000万円だった建物の評価額が1000万円に下落してたとしても、それまでに受け取った家賃収入がその差額以上ありますので、損にはなりません。また家賃収入は現金ですから、相続税の納税資金にすることができます。

仮にこの制度を利用し、土地を贈与してもらったとしても、その土地の活用次第では収益性をもたせることも可能です。

さらにもう1つ利点があります。親御さんが他界されたときに、その土地を他の相続人に優先して相続できる可能性が高くなるのです。この制度を利用して贈与された財産は、相続財産に組み込まれ、遺産分割協議の対象となります。つまり他の相続人が「あの土地はみんなで平等に分割するべきだ」と主張してきた場合でも、「生きているうちに贈与された」という事実は重く、おいそれと分割するというふうにはいかなくなるのです。

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