相続対策を親に切り出すには準備が必要~両親の不安をくみ取る~

いきなり親に「相続対策」の話を切り出しても、多くのご家庭ではもめ事になっててしまいます。「自分が死ぬことを考えるなんて不吉だ。」、「自分の財産をあてにしているのか。」相続対策は必要だし、争うことに何の得も無いことはわかっていても、親は相続という言葉にはどうしても感情的になってしまうことが、ままあるのです。

大切な相続対策をもめずに実行するためには、どうすれば良いのでしょうか。「相続」を「争続」にしないために、三つの準備をする事をお勧めします。

その三つの準備とは・・・

①両親から取材をしましょう。
②遺産分割の事例を学びましょう。
③兄弟姉妹への気配りを実行しましょう。

それでは、三つの準備を一つずつ考えていきましょう。

相続対策に関心がある(相続人)のは50代から60代の子供世代です。ところが実際に相続対策をする(被相続人)のは80代から90代の親世代です。「親世代」が実際に相続対策を考え、実行するまでにはいくつかの壁があるのです。その壁を乗り越えて「よし、相続対策をしよう」となるためには、子供世代の協力が必要です。

いきなり「相続対策のために遺言を書いてくれ。」では壁は乗り越えられません。

それではどんな協力をすれば良いのか。

◆親が不安に思っていることを聞き出そう

一つ目は、「両親からの取材」が第一歩

例えば、高齢の親はどんな不安を持っているのかを「取材」してみましょう。認知症になったらどうしようか?介護施設の準備はしておいたほうが良いのだろうか?終末医療とはどんなものなのだろう?終末医療は昨今話題になっているので、特に関心があるかもしれません。

親世代夫婦はお互いに高齢者ですから、この様な不安を二人だけで解決するのが難しいことは良くわかっています。(二人同時に認知症になるかもしれないのです。)

本当は子供に相談したいのに、なかなか切り出せない不安。そんな不安を「取材」して、子供世代、親世代が一緒になって不安を解決する方法を探して行く。それが相続対策のきっかけになると思います。

◆兄弟姉妹の立場と思いに配慮しましょう

二つ目は相続の遺産分割事例を学ぶこと

相続でもめるのは、「お金」「愛情」「本家」の奪い合いによるものが大半です。お金の奪い合いは分かりやすいと思いますが、愛情、本家の奪い合いとはどのようなものでしょうか。

例えば愛情の奪い合いには、このような事例があります。

財産分与を受ける長男は学校が全て公立だった。一方、次男は全て私立だった。長男の言い分としては、「次男は私立でお金をずいぶんと掛けてもらった。それに比べて自分は公立でたいしたお金も掛かっていないんだから、相続財産は多くても当然じゃないか」ということです。

一見、お金の問題に見えますが、実は親がどのように子供たちに愛情を注いできたか、それが気になっているのです。私立に行かせてもらった次男のほうが、自分よりも多くの愛情を受けていたように感じ、長男は不満に思ってしまうのです。

こんな事例もあります。

「妹はずるい。あの着物ももらったし、あの帯締めももらった」形見分けをめぐって愛情の奪い合いが起きてしまうのです。

本家の奪い合いとは、すなわち本家と分家の立場の違いによるもめごとのことです。本家は「残された親の面倒もみて、債務も墓守も引き継いでいくのだから、財産を多めに相続しても良いのではないか」と考えます。

一方、分家は「財産は平等に法律で決められた割合(法定相続分)で分割するべきだ」と考えます。この意識の食い違いが、もめ事の原因になるのです。

相続の遺産分割事例を学び、それぞれの相続人がそれぞれの立場でどのようなことを感じているのかを理解しておくと、トラブルを未然に回避する方法がみつかるでしょう。

◆つねに感謝の気持ちを忘れずに

三つ目は、兄弟姉妹への気配り実行

兄弟みんなが集まる会食のときなどに、本家長男が弟や妹たちに交通費やお土産を渡すことは大切です。それほど高価なものでなくても、気持ちが伝われば良いのです。渡された弟や妹たちも悪い気はしません。

このようなちょっとした気遣いが、いざ相続となったときに効いてきます。「兄貴にはいつも世話になっているからな」という気持ちになるものです。

逆に弟や妹たちも、本家長男への気配りが必要です。とくに長男の嫁にはつねに感謝の気持ちを示しておくようにしましょう。出張の度にちょっとしたお土産を送るだけでいいのです。

義理の姉は自分の両親と同居して、いつも面倒を見てくれています。その感謝の気持ちをお土産という形で年に何度か送れば、もらう方も悪い気持ちにはなりません。

お互いに、このような気配りをしておくこと。いざというときに、もめ事を回避する最大の対策になるでしょう。

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