互いのコミュニケーション不足による相続争い

争いのほとんどが、意思の疎通が上手くいかないケースで起こるもの。相続争いも、相続人同士のコミュニケーション不足から始まっていることが多いと思われます。

自分が相続人の一人になったとしてイメージしてみましょう。親の遺産をどうするかという話し合いがされるときに、例えば長男が話し合いの主導権を握り、「オレに任せてくれれば悪いようにはしない」と言って、勝手に財産を分けることになったとします。

そして後日、「このように分けることにした」という手紙と同意書に印鑑を捺して送り返すように、一方的に言われたらどんな思いがするでしょうか。

実はこういうケースはとても多く、長男の考えがあって分け方を決めたとしても、「長男の考え」を直接本人の口から詳しく聞かされず決められてしまったことに、黙って従えと言われても納得はできないばかりか、とても捺印など出来ません。

さらに長男が独断で決めた、不平等な遺産分割であったとしたら許せないと思います。そして相続問題から「争族」が生まれてしまうことに。

核家族化が進んでいる現在、兄弟姉妹が全員で合う機会が減ってきたと感じる人もいると思います。家族全員が顔を揃えるのは、正月や盆休みなど大きな行事のときぐらい。久しぶりに家族全員がそろっても、親の財産相続についての話し合いをする所はほとんどないのではないでしょうか。

相続は、人が亡くなって残った財産から発生するのです。それを話題にするのは「縁起が悪い」という家は珍しくもありません。しかし、コミュニケーションをとらなければ、円満な相続などありえないのです。

家族同士、あるいは相続人同士で普段から相続についての話し合いが行われていなければ、相続の話題になったときには、じっくりとコミュニケーションをとることが必要となってきます。もめ事が起こらないようにと、言いたい事を言わないでため込んでいるままだと、解決する方法を探すこともできません。

このような例があります。

両親が亡くなり、長男、次男、三男で財産を分けることになりました。

亡くなった両親は賃貸マンションに住んでいて、不動産所有者ではありませんでした。遺された財産のほとんどが、数百万の預貯金で、それを3人で分けることに。このケースでは金銭的にもめることはあまりないでしょう。

しかし、分け方の話し合いに三男だけが参加しませんでした。高校卒業後に家を出て独立した三男は「親の財産なんか興味はない」と言っていました。さらに親の葬儀のときには2人の兄に「遺産はいらない」と話していたそうです。それが本心ならば、遺産分割の話し合いの場で「相続を破棄する」という意志を告げなさいと2人の兄は電話で伝えますが、三男は頑固に話し合いに参加しませんでした。

このケースでは、三男の本心がわかりません。口では「いらない」と言っても、本当は財産が欲しいと思っているのかもしれません。2人の兄も三男にも財産を相続させる為に、話し合うよう説得を続けました。しかし、三男は話し合いを断り続けたのです。

実は、三男が親の遺産をいらないと言ったのは本心で、一部上場企業に就職し、ある程度の地位につき、子どものいない三男とっては数百万の親の財産は、すぐには必要のないものでした。

しかし、なぜ三男は相続を放棄しようとしないのでしょうか。

理由は感情的なもので、争いが解決した後、三男は「大人げないとはわかっていたんですが」と言って話しだしました。

「長男には子どもが4人いて、次男には自営業の広告代理店の資金操りに苦しんでいて、2人ともお金我必要なことは、わかっていたのです。僕が相続を放棄すれば、兄達の相続分は3分の1から半分になるので、それもあって僕は『いらない』といったのです。しかし、兄達は『すまないな』と一言も言ってくれなかった、それが許せなかったのです。」

三男の気持ちを2人の兄がわかってくれていれば、または、重要なこととして、3人兄弟の間で相続に対してのお互いの気持ちをわかっていれば、争いにはならなかったかもしれません。三男が経済的に苦しい2人の兄の為に自分が相続を放棄したことを知れば、良い話になっていたことでしょう

相続は心の問題であり、相続に関わる人々が心を開き、意思を確認したり、思いやったりすれば、トラブルが起こることもありません。

関連記事

ページ上部へ戻る