「お布施」と「戒名」の摩訶不思議

「葬式」といえば、宗派はさまざまですが、まず日本では仏式で行うの
が一般的。葬儀に寺の僧侶は欠かせない存在といえます。ふだんお寺に
など参ったことのない家庭でも、いざ葬式となると、まず寺の心配をす
るものです。

葬儀業者は、当然おかかえの僧侶を有し、何人かのお坊さんと契約して
います。葬儀にかかる費用の三本柱のうち二本は、葬儀会社に払う葬儀
代金と、会葬者の接待、お返しの費用になりますが、もうひとつは、寺
に払う謝礼です。葬儀会社は、契約している僧侶が葬式をとりおこなう
場合、当然のことながら葬家から僧侶に渡す謝礼の何割かをいただくこ
とになります。

遺族によっては、というより本来はそれが当たり前なのですが、檀家で
ある寺のお坊さんに葬儀をお願いします。地方ではむしろその方が多い
といえます。あるいは都会暮らしでも、寺は田舎にあり、つきあいもち
ゃんとしているといった場合もあります。当然、遺族は、田舎から僧侶
を呼び寄せようとします。

ところが葬儀屋は、「呼ぶとなると、通夜、葬儀、告別式で三日はかか
ります。交通費、宿泊費、接待のことを考えると、そうとうな出費にな
りますよ」と言いくるめ、自社が契約する僧侶に葬儀いっさいを任せる
ようすすめるのです。当然のごとく、かなりの額の紹介料が葬儀社に転
がりこむわけです。

ところでこの契約僧侶ですが、寺を構えたお坊さんばかりではありませ
ん。都会では、僧籍は持っているが寺持ちではなく、葬儀専門に葬儀会
社と契約して仕事をしているお坊さんも多いのです。俗に「マンション
坊主」といわれています。契約僧侶ですから、宗派のちがうお経を適当
にあげることもあれば、式の簡略化もやぶさかではないようで、仏事に
うとい遺族をばかにした所業といえます。

さて僧侶への謝礼ですが、通夜、葬儀・告別式、初七日それぞれのお経
の御礼のほか、御膳料、お車代といったものがあります。

さらに忘れてはならないのが、僧侶につけてもらう「戒名」。宗派によ
ってさまざまな呼び方があり、不思議な話ですが、使う文字や文字数に
よってランクが変わります。「戒名」は、寺や宗派、僧侶個人によって
も値段はあってないようなもので、はなはだしいものになると50万円、
100万円を要求するのですから驚きです。

ともかく葬儀業者は、契約しているお坊さんがうけとる「お布施」「戒
名」の何割かが確実に自分の懐に入るわけですから、大義名分を並べた
てて謝礼の額をひきあげるのに必死なのです。

これだから、世の中に、「居士」や「大姉」があふれかえるわけです。

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