自分の最後の場所は、自分で選べるのでしょうか?

「畳の上で死にたい」というのは、昔のお侍さんの言葉。人が臨終を迎える場所としては、現代では圧倒的に病院が最後の場所であることが多いもの。

しかし、ここ最近になって、慣れ親しんだ自宅でお看取りをするケースも増えてきています。自宅で穏やかな最後を迎えることが幸せだろうという考え方もありますが、超高齢化社会に向かう現代社会では、高齢者が多くなったことで病院や医療機関の数が足りなくなってきており、医療を自宅で受ける方向へシフトせざるをえないのです。

国が在宅医療の体制を整え、在宅介護と緩和ケアを進めていくことで、病院と同様の看護を自宅で続けつつ、穏やかな臨終を迎えるということは、亡くなる人の気持ちに寄り添った一見して素晴らしいことなのかもしれません。

しかし、臨終の場所に自宅を選ぶことが、本当に本人や家族にとって幸せなことなのでしょうか。「つきっきりの看病となりますからフルで働けなくなり収入は激減。しかも、介護は想像以上に重労働。心身ともに疲れ果てた結果、父もいらだち、日ましにわがままになっていったんです」と語るのは東京都調布市の吉本明日香さん(50)=仮名。

余命いくばくもない父親に、最後は自宅で迎えたいと懇願されて自宅療養に踏み切ったものの、愛情だけでは介護は支えられないのが現実。山梨ホスピス協会の佐藤逸子事務局長も、本人の意思だけでなく、家族の介護負担を考えて柔軟に終末医療を受けることを考えるべきだと語っています。

人が一人では生きられないように、死もまた本人だけのことではありません。人生の終焉を迎えるにあたって、自分がどんな臨終を迎えたいのか。自分の意思を優先させるだけでなく、家族とも良く話し合い、家族の負担や思いを考慮して方向を定めることも、「終活」の大事なステップだと言えるでしょう。

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