相続税の延納・物納にメリットはあるのでしょうか?

相続税は金銭による一括納付が原則なのですが、それが出来ない場合、「延納」や「物納」といった方法も選択可能です。延納とは、相続税を分割で支払う方法で、

①納税額が10万円を超えている

②金銭納付が困難である理由があり、かつ、納付を困難とする金額の範囲である

③期限内に延納申請書を提出している

④公社債・不動産・税務署長が認める保証人の保証などの担保を提供できること

という条件をクリアしている場合に延納することが可能です。

延納期間は基本5年間ですが、相続財産に占める不動産の割合が大きい場合は、最高20年間まで認められます。また延納する金額が50万円未満で、かつ、延納する期間が3年以内の場合は例外的に担保の提供は不要となります。そして延納を承認してもらうためには、相続申告期限内(10カ月以内)に延納申請書を提出し、税務署長の許可が必要となります。

一方、物納とは金銭の代わりに不動産などの特定財産によって納税する方法です。これも認められるためには条件がついており、

①延納で納税できない理由がある

②金銭で納税するのが難しい金額である

③期限内に物納申請書を提出している

④物納可能な相続財産がある

といった項目をクリアする必要があります。

物納は現金が無いケースでよく利用されておりましたが、平成18年度税制改正で許可基準が厳格化し、スピードアップが要求されたことにより、平成18年度以降、手間を敬遠して物納を選択する相続人が減少しました。

不動産に関していれば、抵当権が設定されていたり、境界が不明確な場合は「管理処分不適合格財産」とされます。また自由に建物の建設ができない市街化調整区域の土地や接道条件を満たしていないような土地は「物納劣後財産」とされます。そしてこれらに認定された場合、原則物納することができなくなります(他の物納できる財産がない場合は除く)

さらに凹凸が激しい土地、土地の形が歪な土地、日当たりが劣悪な土地、騒音が酷い土地も、物納が認められにくいもの。早い話が「高額で売却できない不動産は国として受け付けません。自分達で処分して、金銭で納税して下さい」という方針になったのです。

こうなると物納できない方達は、自身で売却先を探す必要があります。しかし国から事実上「ダメな土地」という烙印を押された土地を高額で引きうけてくれる人はまずいません。売却できない土地には固定資産税がかかりますし、売り急げば、安く買いたたかれるのは必至です。そのような様々なリスクを相続人が負わされるようになったのです。

延納に話を戻しますが、平成18年度税制改正では、延納の認定基準も同時に厳しくなっています。相続後、残った現金(相続した現金と、相続人自身が保有していた現金の合算)から家族の3カ月分の生活費と、事業経費1カ月分を差し引いた残りはすべて、納税可能現金と判断されます。納税してしまえば、自身の預貯金が無くなる場合であっても、延納が認められないのです。

延納や物納は金銭で一括納税できない人のいわばセーフティネットのようなものでしたが、現在は大きなメリットは無いと考えます。相続財産は一時所得のようなものなので、一時払いが原則だと考えます。ですから、親御さんが元気なうちにできる相続税対策として、納税資金確保をお勧めする理由はそこにあります。

関連記事

おすすめ記事

ページ上部へ戻る