相続税の節税対策に伴う不動産活用のメリットとデメリット

相続税の話は富裕層だけの話と思われている方が多いのではないでしょうか。

2015年からの相続税の改正で基礎控除額が縮小し、これまでは相続税の対象でない人も都市部に一戸建てを所有する場合、住宅の評価額次第では相続税の課税の対象になります。したがって、相続税のことを考えなければならない人が増える可能性が出てきました。

最近、住宅業界では相続税の節税対策に関してセミナーを開催し、顧客の獲得に向けて商戦を繰り広げています。ただし、この節税対策には気を付けなければならないこともあります。

今回は、不動産を活用した相続税の節税対策について検討してみましょう。

旭化成ホームズで開催された大阪市内でのセミナーには、約40人の土地のオーナーが参加しました。セミナーの講師である税理士は、「相続する土地に賃貸のアパートを建てることで、相続税の節税対策になります。」と説明。

セミナーの終了後、旭化成ホームズは賃貸のアパート見学会に参加者をバスで案内しました。そして、参加者に対し賃貸のアパートの経営手法に対する質問会を開催しています。セミナーの参加者の中で、夫婦で参加している奈良県橿原市の女性(69)は、「子供に迷惑をかけないように、ボケないうちに、しっかりと勉強する必要がある」という感想を持ったようです。

セミナーを開催した同社の柳本英志・関西支店長は、「相続税増税の前に、節税対策として何をしたらいいかという不安を抱えているお客さんが多いようです」と言っています。したがって、同社は、今後もセミナーを継続して開催していく方向だということです。

それでは、なぜ、不動産を活用すると相続税の節税対策になるのでしょうか。

その理由は、住宅の評価額にあります。相続税の金額は住宅の評価額を基準に計算しますが、相続する土地に二世帯住宅であれば80%、賃貸アパートであれば50%課税の対象額を引き下げられる特例があります。

そのため、新しく相続税対策で住宅の建築を行う人が増えるという需要を見込み、住宅業界は顧客獲得に向けて躍起になっているといえます。

ここで、具体的な住宅業界の事例を見てみましょう。

まずは、二世帯住宅を検討している都市部の人たち向けの住宅を提案している、大和ハウス工業。同社は限られた土地を有効に活用し、かつプライベートな空間を大事にするために、3階建て木造戸建て住宅の新商品を発売しています。そして、庭を屋上に作り、隣家から中が見えないよう窓を格子状にするといった工夫を凝らしています。

次は、自宅を賃貸併用型に建て替える提案をしている積水ハウス。同社は、東京・青山に自宅と賃貸部分が合体したタイプのモデルームを初めて建設しました。前述したように、賃貸部分を建設することで、住宅の評価額を引き下げ、かつ自分の居住部分も確保しようというのが狙い。

しかし、こういった住宅業界の相続税対策に警鐘を鳴らしているFPもいます。

「二世帯住宅や賃貸アパート建設で、相続税の節税になる場合もありますが、リスクも伴います。特に、金融機関から借り入れをして新しく住宅を建設する際には注意が必要。と指摘しています。

仮に、二世帯住宅を建てた場合、子供が親の土地を相続する時に土地の評価が8割引き下がる特例を使うことができます。しかし、まれではありますが親より子供のほうが先に亡くなるケースもありえるのではないでしょうか。この場合は、直系尊属として孫が土地を相続することになります。孫が複数いるような場合は、同居は難しいといえます。

二世帯住宅はその特性上売却されにくく、現金化することが容易ではありません。現金化できないと、財産の按分や相続税の支払いが厳しくなってきます。

金融機関から借り入れをして新しく賃貸アパートを建てた場合もリスクがあるといえます、空室があった場合、賃貸収入がなくなり借入金の返済の負担が重くのしかかります。

したがって、不動産の相続にあたっては節税面ばかりでなく、デメリットも考える必要があるといえます。

どの税金に関しても言えることですが、税金逃れに関してはペナルティーが課せられ、相続税の場合は、かなり重いペナルティーがあります。

事例として、大阪府では不動産や預貯金を相続した女性が、2012年に相続税逃れのため適正に相続した財産の金額を申告しなかったことで、大阪国税局から、約4億5800万円の申告漏れの指摘を受け、重加算税を含め約2億300万円を追徴課税されたという例があります。

国税局は法人税や所得税のみならず、相続税の申告漏れについても日々チェックしています。近畿2府4県だけでも申告漏れと判断されたのは、2012年6月から2013年6月までの1年間で約1900件、トータル743億円。その中で多かったのが、現金や預貯金でトータル296億円にものぼるようです。

2015年からの相続税の税制改正に伴い、相続財産が課税対象となるのは亡くなった方の約4%から6%台に増えると予測されています。そのため、国税庁のHPでは遺産額を入力して相続税の有無を見分けられる計算システムを作り、公開する予定です。

相続税の対策をする必要がある方は、今後国税庁のHPをチェックし、早急にまずは相続する財産の金額を確認する必要があるのではないでしょうか。

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