介護とはただお世話することだと思っていませんか?

「できないことをしてあげること」が介護だと思いがちですが、それは
違います。介護が必要になった人は、確かに誰かからお世話を受ける必
要のある人です。その点では看護が必要な病人と同じだと考えられるか
もしれません。しかし、介護は一過性のお世話が必要な病人を対象にし
ているのではなく、あくまでも「生活していく主体」に接することなの
です。

年をとれば誰でも物忘れをしたり、判断力が鈍ったりします。また体力
的にできない家事もでてくるでしょう。そこに治らない病気を抱えたり、
怪我をしてその後遺症が残っていたりすれば、食事、排泄、入浴という
一番基本的な生活行為にも他人の手を借りる必要がでてきます。

誰も自分が要介護者になりたくないと考えているはずです。しかし、そ
れは人間が未熟な状態で生まれてきて、誰か(多くは親)からの保護を
受けなければいけないのと同じように自然なことでもあります。不自由
な体、認知症の頭をもっても、それでもその人らしい生活を送っていく
こと。その手伝いをすることが介護です。

家族に介護が必要になったときに考えるべきことは、「本人らしい生活
とは何か」ということです。厳しい言い方をすれば、欠けた部分は戻っ
てきません。それが年をとるということなのではないでしょうか。元気
な時だけが人生ではなく、老い、病み、介護を受けるようになった時間
もまた人生の一部分として普遍的に存在する時代に私達は生きています。

誰もが長生きできる社会。それはこれまで人類が追い求めてきた理想の
社会の姿。その理想的な社会に私達は生きているはずです。介護を受け
るようになったらおしまいだ、という価値観の社会では現在介護を受け
ている人も、これから(もしかしたら)介護を受けるようになる自分自
身もまた辛いはず。

誰も自分の親や、ましてや自分自身の介護については考えたくありませ
ん。しかし、避けられないものとして、一度新しい視点で介護を捉え直
すことが必要なのではないでしょうか。

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