相続税および贈与税の税務調査への留意点と対策

2015年からの相続税増税に向けて、生前贈与対策を検討している人も多いのではないでしょうか。相続税と贈与税の税制は、とても難しく、素人が行った場合、申告の際にミスをする可能性もあります。税務署は、相続税と贈与税の申告が適正であるかの税務調査を行ってきます。今回は、この税務調査で指摘を受けないよう

万全な対策を考えてみましょう。

税務調査とは具体的にこのような感じで行われます。

東京都に住む会社役員、山下和明さん(仮名、65)の場合。

山下さんの自宅に、ある日、「株式の譲渡代金の使い途の内容についての回答のお願いというお尋ねの手紙が税務署から送られてきました。山下さんは、自分が所有していた株式を譲渡して、株の売却代金を得たのですが、この売却代金を自分の子供名義の預金口座に振り込みました。

きっと、税務署は、財産の贈与になり、贈与税の申告対象になるのではないかと狙いをつけてきたのでしょう。税務署の税務調査の方法は、様々です。この事例のように正式文書による回答を求められる、あるいは税務署に呼び出されることもあります。逆に、税務署の方から自宅などに訪ねて来る実地調査というのもあります。

税理士の見解によると、文書による回答は正式な調査とは違うといわれていますが、税務署側に、過去の申告書の間違いや、申告漏れなどの、何か過失があると疑われている可能性があるといえます。

2015年からの相続税の改正の目玉は基礎控除額の縮小です。従来の基礎控除額は、5,000万円+1,000万円×法定相続人の数でしたが、2015年からは、3,000万円+600万円×法定相続人の数になります。

したがって、税理士などの専門家は税務署が生前贈与に関し、監視を強めているという見解を持っているようです。

生前贈与には、住宅資金の贈与と教育資金の贈与の2つの方法があります。これらは、子や孫などの直系尊属に対して、資金を贈与した場合の非課税の特例です。

現在、住宅資金の贈与は最大1,000万円、教育資金の贈与は1,500万円の非課税枠となっており、今後は、2つの特例とも3,000万円までの引き上げが検討されています。また、これらの制度は、基礎控除の110万円も併せて受けることができます。

こういった制度を知らずに無申告だったり、間違えた申告をした場合、税務署からお尋ねの手紙が来ることもあるので注意が必要です。

さらに、国外の資産運用に関しても、税務署の監視の目が厳しくなってきています。

海外の金融機関で口座を開設⇒株式や預金を運用⇒利子や配当金を得る⇒利子所得や配当所得が発生⇒株式の譲渡により譲渡所得が発生した場合、税金の申告が必要になります。

日本の金融機関は、海外とのやりとりで1回100万円を超える入出金があった時は、税務署への届け出が、税制では義務付けられていますので、申告を怠ると税務署からのお尋ねが来るため、無申告にならないように注意が必要。

所有しているマンションやアパートを貸した場合、不動産所得が発生し申告する必要が出てきます。昨年は、東京国税局管内の全税務署が不動産所得の申告者110万人にお尋ねの手紙を送付しており、予断を許さない状況と言えるでしょう。このことから分かるように、税務署は抜かりなくチェックをしてきているといえます。

不動産所得は、収入金額から必要経費を差し引いて計算します。したがって、必要経費を過大にする処理は、税務署のチェック対象になるため注意が必要です。
 
税務当局は、ここ最近課税強化の一環として富裕層を中心に、国外への財産の逃避を阻止すべく、あらゆる手段で国外の財産の把握をしようとしてきています。したがって、国外に財産を持つ富裕層の方は過少申告や無申告について特段の注意を払う必要があります。

2015年からは相続税の改正に伴い、課税対象者は確実に増加してきます。したがって、現在でも税務署は多額の財産を所有する遺族に対して相続税の申告書やお尋ねの手紙を送付してきていますが、さらにこの処理が増えてくると予想できます。

多額の財産を所有する遺族の方は、財産の管理として資産と負債の残高の把握をしっかりと行い、必要な申告を正しく、適正に行うことで、税務署への万全な対策としていくべきではないでしょうか。

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