被相続人の遺志を引き継ぐ相続を

さて、ここまでは遺産の分割協議について述べてきましたが、本当に円満な相続を願うのなら遺産の分割ばかりに目を向けていてはいけません。むしろ、被相続人がいなくなった今、遺産分割協議で本当に話し合うべきなのは、残されが家族がどう生活していくのかという事についてです。

残された母親は広い実家で一人暮らしをするのか、それとも相続人の誰かと同居するのか。他にも被相続人が扶養していた家族がいるのなら、誰が面倒を見るのか。被相続人が事業を営んでいたなら、誰かが継ぐのか、やめてしまうのか。やめてしまう場合、誰かに迷惑はかからないのか。お墓は建てるのか、誰が墓守をするのか。等々。

問題は山積みだと思いますが、こういった問題を解決した後で、やっと遺産の分割に目を向けることが正しい順序ではないかと感じています。相続とは、遺産を分けることが本来の目的ではないと思うからです。

話し合いによっては、遺産の分割以上に折り合いがつかないことも多々出てくるかもしれません。誰だって貧乏くじは引きたくない。それが人間の心情というものでしょう。

それでも、年老いた母親のことはもちろん、借金を抱えて困っている兄弟や、重い病に苦しんでいる家族がいるような場合、財産を平等に分けることよりも、そういった立場の弱い家族を守ることの方を優先的に考える方向で進めていきたいものです。

家族が仲良く支え合って暮らしていく事。綺麗事のように聞こえるかもしれませんが、被相続人の立場で考えれば誰もが望む家族のありかたなのではないでしょうか?

遺産分割協議が合意に至ることを、専門家たちは「調う」と表現します。協議を急がず、必要であれば専門家や司法の力を借り、時間も手間も惜しまずに相続人全員が納得できる結論を出すこと。家族全員の心が調った状態で協議を終えること。それこそが目指すべき終着点だと感じます。

本当の意味での相続とは、被相続人の遺産だけでなく遺志も引き継ぐことであって欲しいと専門家たちは願っています。

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