新たに葬儀業界へ参入してくる企業

「葬儀は儲かる」という意識からか、最近は、葬儀業界に進出してくる
企業が増えています。JAや生協の躍進はもとより、近頃では全く異な
った業界からの参入が話題になっています。関西の大手私鉄の南海電気
鉄道や、大手スーパーのイオンが葬儀業界に進出。

コンビニエンスストアのファミリーマートも、葬儀業界に足を踏み入れ
ようと計画をしています。また日本初の外資系葬儀会社も誕生しました。
オールネーションズ・ソサエティはアメリカの葬儀会社ですが、日本市
場で勢力を拡大し始めています。

葬儀社は、開業するための認可などは必要とされていない業種。そのた
め、参入へのハードルが低いというのも特徴。許認可不要というメリッ
トに加えて、葬儀というものは依頼さえ受けれれば実務は外注できるの
で、それを小さな葬儀社に委託してしまえば良いのです。

極端に言ってしまえば葬儀の仕事は、一人でもできます。言ってみれば
斡旋業のようなもので携帯電話ひとつあれば、葬儀を取り仕切ることは
可能。葬儀を受注して遺族と簡単に打ち合わせをし、霊柩車会社に電話
してご遺体を病院から自宅へ、もしくは自宅から遺体を保管できる場所
へ移動してもらいます。

葬儀の日程、式場を決めて火葬場などの予約をします。通夜の日に祭壇
のレンタルリースや花屋が来て、祭壇を飾り、料理は料理屋が配膳と共
にやって来て準備、式進行も葬儀専門の人材が来て、案内や司会を引き
受けます。そして寺の檀家であれば僧侶に来てもらい、お経をあげても
らいます。これで葬儀の体裁は整うもの。

ですから、素人でもできると思われがちなのですが、遺族への細かい配
慮や段取りの良さは、プロの葬儀社には到底およびません。誰でもでき
る仕事のようで、長い経験と采配がなければできない仕事でもあります。

そしてそれを知るのは、葬儀を終えた遺族だけなのかも知れません。ま
た葬儀というものは、そう幾度も経験するものではないので「今回は、
フランチャイズで試してみよう」とか「やっぱり町の葬儀屋さんの方が
後々まで面倒みてくれるからそっちがイイかも」などと出前の蕎麦を注
文するように簡単に選ぶわけにはいきません。

ですから、最初に消費者に選んでもらうことが最重要課題なのです。人
の死に関することなど、できるだけ関わりを持ちたくないのが真実。で
すから同じ依頼主から次の受注はないと思わなければいけません。

普通の仕事が終わった場合、別れ際に「またよろしくお願いします」と
言うのは当たり前の挨拶のようなものですが、葬儀社が遺族に対して言
うのは禁句。「また」などあってはいけないということ。一般の葬儀社
も昔のように競争相手がいないからと、のんびりしている時代ではなく
なりました。

しかしその外部からの風が、胡坐をかいていた従来の葬儀業者に刺激を
与えたのは確か。良い意味での緊張感を強いられた葬儀業界は、昔の悪
い風習を改善していくと思われます。

派手な宣伝やPRなどは、大手企業に敵うわけがありません。しかし現
在でも生き残っている町の小さな葬儀社は、丁寧な仕事をし、遺族が満
足できる葬儀を整え、口コミで仕事を請け負っているのです。

葬儀社全体が今、葬儀という職種を改めて見直してきています。そして
この健全な競争は、まさに資本主義の則るところでもあり、期待できる
ことでしょう。

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