有料老人ホームと入居者間のトラブルと苦情に見る真実

有料老人ホームは、国民生活センターへの苦情相談が2000年以降900件
近くあり社会問題になっています。

入居一時金が高額な割りには、期待されるサービスの質と実態とが食い違うた
めに、トラブルとなる場合があります。

公正取引委員会は、社団法人全国有料老人ホーム協会や事業者に警告を発して
います。特に、終身介護してもらう権利、自室を利用する権利が契約時と異な
るために、「誇大広告」と判断され、改善を求められています。

有料老人ホームといえば、悪徳業者がはびこる業界とまで言われています。

自宅を処分して高額な入居一時金を支払って入居したが、期待したサービスに
不満で退去をしたいが、入居一時金が戻ってこなくて日常生活ができるか困っ
ている。

終身介護を期待して入所したのに要介護度が高くなったら退去を要求された。

身の回りのことが出来なくなったら狭い介護室や雑居部屋に移された。

等々多数の苦情が消費生活センターに寄せられています。

誇大表示とならないように、途中退去する場合に入居一時金を一部又は全額返
却しないことを明示したり、介護度が高くなった場合の処置方法、部屋の占有
面積が変った場合に料金の払い戻しはあるのか無いのかを明示することが要求
されています。

誇大表示を防止するために、出来ることばかりでなく出来ないことを列記して
予め承知してもらうことで、トラブルは少しは少なくなります。

しかし、入居者と有料老人ホーム側とでの、立場の違いが本質的に期待するこ
とに大きなズレがあり埋められないものもあります。

誇大表示とならないように、できないことを契約書に明記するだけでは、本来
の形にはなりません。期待していた介護サービスが後になってから違うと気付
いても後の祭りです。

有料老人ホーム側は、後で言い訳できるよう契約書に明記して強制的に口封じ
するだけのこと。有料老人ホームのサービスそのものを要介護者の期待に沿う
ようなサービスに高めていかない限り、トラブルは根本的に解消しません。

しかし、有料老人ホーム側の立場で言うなら、終身の権利をうたいながらも、
未来に渡って権利を保障できるということが可能かどうかはなはだ疑問です。

入所した人が10年以内に死亡するならともかくも、20年、30年と生き延
びた場合には、建物の修繕や改築も必要になってきます。想定外の予測しない
事態に追加徴収が出てくるのは止むをえません。

また、介護度が進んだ場合には、部屋を移動してもらって、介護度が同じよう
な人を集約して介護した方が効率的。雇用している介護士はパート扱いです。
これ以上、人件費を抑えることはできません。

20年、30年と介護レベルを維持し、しかも向上させることは、経営的に厳
しいものがあります。営利企業であるので、「経費は少なく収入は多く」とい
う採算を常に追求していかなければなりません。

10年以上となると経済情勢は予想できません。終身の権利を守るつもりであ
っても、経営が行き詰って倒産する可能性もゼロではありません。

介護保険から支払われる介護保険料は低く抑えられて、増額の見込みは望めま
せん。高額な入居一時金は、前払いで入金されるので、入居後に、よりサービ
スを高めても利益を減らすだけです。

また、介護を尽くして長生きすればするほど利益が減ることになります。

一方、入所する要介護者の立場では、有料老人ホームは生涯にわたって貯めた
貴重な財産を注ぎ込んで得た終のすみかです。自らの人生を賭けているので終
身の権利を確保できなければ、期待外れではすみません。

未来にわたって想定外の事であってもそんなリスクは業者が担うべきです。こ
のように、真っ向から利害が対立してトラブルになる種が、有料老人ホームを
巡ってはたくさんあることを忘れてはなりません。

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