国は在宅介護より介護施設を充実させるべき

介護保険は、当初、「公的福祉の拡充」「介護の社会化」と言われ、介護保険
制度が平成3年4月1日に鳴り物入りではじまりました。

「介護の社会化」とは、家族の介護負担を軽減するものとして、多くの方に支
持され期待されました。

しかしながら、平成17年10月からは、公的施設に入所している老人の経費
として、介護保険の対象から食費・居住費が外されて自己負担となりました。

又、「介護の社会化」は進むどころか、平成18年4月からは、家族介護重視
に方針転換され、益々家族の負担が増えることとなりました。

増大する社会保険の介護経費を抑えるという旗印を挙げて、「介護の社会化」
は「家族介護」へと逆行する動きとなりました。在宅介護に経費がかからない
というのは、無償の家族介護に委ねるだけのことです。

仮に家族介護の人件費を算出して経費に算入した場合には、非効率なこととな
り、介護施設の経費によるヘルパーが低賃金で過酷な環境で働く事態となって
います。

一軒一軒移動する経費はホームヘルパーの自己負担となります。実際の日当が
4000円程度では、ホームヘルパーは生活を維持できない上、ホームヘルパ
ーになる人がいなくなるのは当然。

ホームヘルパーの崇高なボランティア精神に甘えるだけの政策は、継続維持で
きない危うさをはらんでいます。

又、訪問介護事業者は、一週問の労働時間が30時間を超えないように雇用し、
多数のホームヘルパーを正社員化していません。訪問介護事業者は、社会保険
から収入を得て事業が成り立っていますが、自らは社会保険を払わない経営努
力をすることにより黒字化になっていくという矛盾があります。

社会福祉事業者からも嫌われる社会保険制度は、根本的に間違っていると言
わざるを得ません。

訪問看護では、いくら頑張っても一人で一日に8件程度しか回れません。しか
し、介護施設では一人の看護士がその5倍の40人もの介護をすることができ
ると言われています。

ホームヘルパーは、一人で家庭に入り込んで訪問介護をするために、家の中が
そもそも不衛生な環境であったり、要介護者と意見が合わないトラブルも少な
くありません。

家の中の物を誤って壊してホームヘルパーが個人で弁済せざるを得なかった例
もあります。訪問介護は、一日の内のたった1時間程度の生活介護ができるだ
けです。限られた時間の中で、家族の介護の仕方とか、家の構造そのものの根
本的な改善点とかが山のように目につくと、ホームヘルパーだけではどうしよ
うもない絶望感に襲われます。

要介護者の情報もホームヘルパー間で共有して合理的に対処すべきですが、訪
問介護事業者の事務所へ連絡しても、結局一人で対処することとなり、ホーム
ヘルパーが一人でかかえ込んで悩むことが少なくありません。

要介護者との個別のトラブルは極めてローカルなこととして、握りつぶされて
表面化してないだけです。家族にとっても、訪問介護で1時間程度の生活介護
を助けてもらっても、24時間の中の1時間ではほとんど焼け石に水の効果し
かありません。

少子高齢化で超高齢化社会に対処するには、介護施設の充実を図って、多数の
要介護者を効率的に社会全体で見る制度が必要です。自分が要介護者になった
時を想定しても、不衛生なところで孤独に暮らすより、家族に下の世話までさ
せるような迷惑をかけるより、24時間、介護施設で介護される方を望みます。

社会全体で要介護者を介護し、家族から介護の負担を軽減する方が、家族も要
介護者も望むことであり、介護費用も安価にできて、社会全体の利益につなが
るということを今こそ理解すべき時なのです。

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