ホームの質を左右する職員の人数と資格

有料老人ホームは、職員の人材確保に苦労しています。激務で労働環境が悪く、
給与水準も年収300万円程度と低く、キャリアを積んでも年収が増える保証
もなく、社会福祉という崇高な使命感に支えられているのが現状です。特に大
都市圏の施設ほど人材不足が深刻。

また、有資格者ごとに職員の人数を常勤又は非常勤の区別をして明示するよう
に法令で強制しています、さらに、併設する診療所の看護職員は、医療保険か
ら職員の人件費を給付されているので、「有料老人ホームの職員」としてみな
して人数を加算することも禁止されています。

介護福祉士の資格は、介護福祉士養成専門学校に二年間通って入手できる国家
資格ですが、特養や大手の有料老人ホームに就職する人が多く、中小の有料老
人ホームでは人材確保がさらに深刻です。

介護福祉士の資格を得たものの、業界の現状を知って、他の業界に就職・転職
する人が多くいます。一方、ホームヘルパー二級という資格は一週間ほどの研
修と4~5日の現場実習によって取れる資格のため、スタッフの多くがホーム
ヘルパー二級でしかもパート勤務という施設が多くあります。

一般に介護職員の人数が多いほどサービスの質が高いと言われています。従っ
て、パート職員は8時間勤務に換算した延べ人員で表示することを規定され、
勤務職員の数が少なくなる夜間での介護職員の人数表記も規定されています。

従業員の福利厚生を念頭に置いた大企業系列の有料老人ホームが一般的に職員
の教育・研修に熱心で、介護サービスの質の向上を図っています。しかしその
ような有料老人ホームは従業員のOBに限定していたり、会員制です。一般に、
介護サービスの質の高いところは、入居一時金や月額利用料が高額に設定され
ています。しかし、入居一時金や月額利用料が高額だから介護サービスの質が
高く、安価だから低いとは限りません。

また、入居者が支払う月々の利用料については、「管理費」とか「利用料」と
いう名目で高額の費用が毎月徴収されています。そもそも介護サービスの費用
は介護保険から有料老人ホーム側へ報酬として支払われているものです。介護
保険の対象となるサービス料が二重に徴収される懸念もあることから月々の費
用の内訳を消費者に示すことが有料老人ホームに義務付けされています。

もし、公正取引委員会が、ホームの作成した費用の内訳を調べて誤りがあれば、
不当表示とされて広告類を排除する命令が出されます。ここで、ポイントは、
公正取引委員会が排除命令を出さない限り、黙認状態となり得るということ。

公正取引委員会は、申請のある広告類を審査して有料老人ホームを認可する機
関ではありません。誰かが被害に遭って疑問に感じて申告してから動き出すよ
うな機関です。

製品の場合には、不当表示と判断されれば、多量の製品を回収する費用は莫大
になりますが、有料老人ホームの広告を回収することはそれほど大したもので
はありません。

「今回、公正取引委員会から不当表示のご指摘を受けましたが、法律上の見解
の相違と考えています。しかしながら公正取引委員会のご指摘を重く受け止め、
改善を図ります・・・云々。」と言えばいいのです。多少の信頼を失うことを
覚悟すれば、不当表示とされてから対応に動き出すことで、製品の場合のよう
に、遅きに失するということではありません。

そもそも製品の場合とは異なり、不当表示か否かを判断するには非常に難しい
ということがあります。また、公正取引委員会は、詳細に調査する余裕はあり
ません。法律で規制されているというものの、現実は、トラブルが表面化する
まで有料老人ホーム側の良心に委ねられているのが実状。

従って、入居契約する前に、有料老人ホームを色々見学し、介護サービスの内
容を精査することが非常に重要になります。その上で他の有料老人ホームと比
較しながら、入居予算と介護サービスとを秤にかけて判断するしかありません。

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