「解約特例」が誇大広告をなくす

高齢社会が大きく広がりつつあり、消費生活センターに寄せられる有料老人ホ
ームについての相談件数が増えています。最も多いトラブルは、契約時に支払
う高額な入居一時金や入居後に解約した場合の返金についてです。

例えば、正式契約の前に、部屋の仮予約するために、高額な入居申込金を支払
い、その後、入居をキャンセルしたら、入居申込金が返却されない場合があり
ます。正式契約前の入居申込金についての扱いは有料老人ホーム毎の規定によ
り異なります。仮予約するための入居申込金をキャンセルした時に返却される
のかを事前に確認しておく必要があります。

入居してから認知症が進み、退去をせざるを得ないことも発生します。この場
合に、入居時に支払った高額な入居一時金は返却されない場合があります。

入居一時金や介護一時金は、入居時点で償却される初期償却費や償却の開始日
と期間、途中退去した場合の返還金額の算定方法は、有料老人ホーム毎の規定
により異なるので注意が必要です。

入居後にすぐに死亡することも想定しておく必要があり、この場合に、入居一
時金は入居時に一括償却されるのか、死亡の場合に返金があるのかを確認する
必要があります。

特に90日以内の短期に解約して退去する場合に、返還金額の算定方法を見て
おかなければいけません。入居後に月額使用料が一方的に値上げ通告される場
合もあります。月額利用料は、家賃、食費、管理費などホームによって内容が
異なります。また、月額利用料の改定については、重要事項説明書に記載され
ることとなっています。

従って、契約前には、「入居契約書」「重要事項説明書」「指導指針との適合
表(重要事項説明書別表)」「サービス料金表」を確認することが必要です。

ただ、重要事項説明書にも入居条件が書かれていて、入居契約書と記載が異な
る場合があります。この場合に優先されるのは、押印した入居契約書の方。従
って、重要事項説明書に記載されていても、入居契約書を確認しないと安心は
出来ません。

2011年に老人福祉法が改正され、有料老人ホームの「短期解約特例」が法
制化され、入居者側の権利が強化されました。

これにより、たとえ契約書に、「退去の申し出は、入居後一ヶ月以内に行うこ
と。入居後一ヶ月を越えてから退去の申し出があった場合には入居一時金は返
却しません。」と明記されていても、入居から90日以内に口頭で解約の申し
出があった場合には、入居一時金は返却しなければなりません。

また、家賃や敷金(保証金)、サービス提供費用以外の費用は、受領が禁止され
ています。

従って、契約書に、「入会金○○万円は入居時に全額償却とし、入居後の返却
には応じません。」あるいは、「会員権○○万円は、返金しません。」と、記
載されていても無効。

また、入居時に入居一時金から手数料のように差し引く「頭取り」という業界
独自の商習慣も認められません。

入居を検討している有料老人ホームが有料老人ホーム協会会員かどうかも判断
材料にすべきです。老人福祉法には、有料老人ホーム協会の業務が法制化され
ています。

協会は、有料老人ホームを運営について、有料老人ホームの会員へ法令を遵守
させたり、契約内容の適正化、設備及び運営に対する入居者等からの苦情の解
決、入居者の立場に立った指導、勧告、職員の資質の向上のための研修が義務
化されています。

また協会は、有料老人ホームの会員へ説明を求め、資料の提出を求めることが
出来ます。

一方、会員は、協会からの求めに正当な理由がない限り、拒むことができませ
ん。従って、有料老人ホーム協会会員であれば、まずは法令順守の信頼できる
有料老人ホームと言えるでしょう。

ただ、会員の有料老人ホームであっても細目については、有料老人ホーム毎に
異なるのでしっかりした確認はおろそかにはできません。有料老人ホームには、
色々な形態があって、消費生活センターへ持ち込まれるトラブルの多さから、
やっと法整備が始まったばかりと考えるべきでしょう。

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