「寝かせきり」が「寝たきり」を作る

高齢化社会の現代で、最大の問題一つは、日常の動作が自分できない、
いわゆる「寝たきり」の人達の介護だろうと思います。

専門的というか、行政的な分類では、「起き上がり、寝返りが自力では
できない」という、「要介護3」レベル以上が「寝たきり」状態です。

平成22年の厚生労働省の調査では、65歳以上の「寝たきり」の原因
で上位を占めるのは、

1.脳血管障害 24.1%(いわゆる脳卒中)
2.認知症 20.5%
3.老衰 13.1%
4.骨折などの負傷 9.3%
5.関節疾患 7.4%

となっています

男女別でみると、男性の寝たきり原因第一位は脳卒中、女性の場合は骨
折となっています(骨粗しょう症によって大腿骨が簡単に折れてしまう
のです)。

さて、「老衰」と「認知症」は、現代の医療ではどうしようもないこと
です。しかしながら、併せて原因の40%を占める「脳血管障害」「骨
折」「関節疾患」の場合、これらはあくまで「寝たきり」のきっかけに
すぎません。

若い人ですら、ちょっとした病気などで寝込んだ後では、「体がなまっ
た」と感じるはずですが、こと高齢者の場合、病気や怪我で体を動かさ
ない状態が続くと、使わない機能の低下や、筋力の低下が急速に進みま
す。

これは、専門的には「廃用症候群」と呼ばれますが、ひどい場合には、
1~2週間で体が動かせない「寝たきり」状態になってしまいます。

そして、「寝たきり」の実際は、「寝かせきり」による廃用症候群が多
いのです。

日本ではことに多いらしいですが、寝込むことになった高齢者の方が、
周囲に迷惑はかけまいと起き上がろうとしない、周囲も心配して動かす
ことをためらう、などの理由で、病気や怪我が安定したとしても、過度
に、不必要に、高齢者を安静状態に置くことで(=寝かせきりにする)、
廃用症候群が進んで「寝たきり」状態となってしまうのです。

この問題はかなり昔から指摘されており、今から20年前の平成3年、
厚生省(当時)が、「寝たきりゼロへの10か条」を示しました。その
第2条に、はっきりと、「寝たきりは 寝かせきりから 作られる
過度の安静 逆効果」とあります。

しかし、高齢者人口の増加もあって、20年前から改善しているように
は見えません。

原因第三位の「老衰」にも、「寝かせきり」によって作られたものが含
まれているのは確実でしょう。

関連記事

ページ上部へ戻る