命に関わるリハビリの問題

回復期リハビリ病棟での入院日数は上限が定められている上に、増え続
ける高齢の入院者数に対する病院側の十分なサポートシステムが伴わず、
完全の回復を待たずして退院を迫られることがあります。

退院後は訪問や通院によるリハビリに励むことになりますが、残念なが
らリハビリが順調に進み、誰もが期待通りに元の身体に戻れるという訳
ではありません。むしろ、リハビリによって完全に回復する方は一握り
で、入院中は歩けたのに、退院後に歩行困難になったと気づかれる方も
多いようです。

高齢者の場合、基本的体力が落ちていますから回復にも時間がかかるこ
とは明らかで、目に見えるリハビリの成果がなければ、気持ちも落ち込
み、意欲もなくなるものです。そうして気持ちの問題から一日の大半を
ベッドで過ごすことになれば、瞬時にして寝たきり生活が始まってしま
います。

この事態を避けるため、自宅での療養生活を送る際に大事なのは、まず
本人が歩こうとする意欲を持つことです。再び転倒しないか、また骨折
しないかと心配するあまり、できるだけ安静を心がけ、歩かずにいれば
足腰の筋肉は衰え始め、直ぐに動かしたくても動かせなくなってしまい
ます。

また、家族も同じような心配から本人をできるだけ安静にさせたがるも
のです。再びけがをされては介護の必要も出てくるわけですから、フル
に動き回られるのも気が気ではなくなります。こうした心情は大いに理
解できますが、歩かないことで関節や筋肉が凝り固まり、廃用症候群を
起こして寝たきりになってしまう方がよほど恐ろしいです。

例えば寝たきりによって食べ物を消化する機能が弱まることで雑菌やウ
ィルスを直接肺に吸い込んでしまう、「誤嚥性肺炎」のリスクも高まり
ます。

リハビリとは、命とは直接関係ない足腰の運動と思いがちですが、実は
リハビリにどれだけ真剣に取り込むかが命に関わる問題となってくるの
です。日本整形外科学会によると、大腿骨頸部骨折により入院を経験し
た高齢者でリハビリを行ったとしても、1割弱の方が一年以内に亡くな
っているという統計もあります。リハビリを軽視せず、命に関わる問題
として本人もその家族も真剣に取り組む必要があるのです。

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