完全に回復していないのに、なぜ退院しなければならないのか?

高齢者が病気やけがにより入院した場合、過度の安静は返って逆効果と
なり、症状を見ながら早期に回復へのリハビリを開始することが、寝た
きり予防につながります。従って、病院での段階的なリハビリにより、
問題なく日常生活に戻れるまでの回復を待ってから退院するのが理想で
す。

ただし、実際には私達の周囲でも「思いのほか、早く退院させられた」
とか「退院してから、通院でのリハビリに切り替えた途端、以前より動
けなくなった」などの声が聞かれます。

病院もリハビリ施設も予算や制度、人材面など限られた制約の中で精一
杯の医療に努めているのですが、病院における、症状の回復に合わせた
段階的なリハビリ、特に一命を取り止め、身体機能を徐々に回復させる
「回復期」のあり方に課題が無いとは言えません。

つまり、超高齢化社会にあり、一人の老人が患う疾患も複数化・長期化
する中、病院や施設、医療従事者の数が慢性的に不足しており、手厚い
ケアで一人一人の老人の回復をサポートすることが難しくなってきてい
ます。

加えてこのような現実問題に対し、臨機応変な医療制度の見直しも残念
ながらなされていません。この問題の背景の一つとして、命に別状のな
い回復期の高齢者は、入院の日数に上限が設けられており、それは疾患
により異なりますが、最長でも2ヶ月から半年までとなっています。

例え100%の回復と診断されずとも、時期がくれば退院せざるを得な
く、それどころか実際には上限日数に達するかなり前から退院を促され
ているようです。それは、高齢化および高齢者の入院数が増加し続ける
現状への対策として、入院日数の長期化を規制する動きがあるからです。

限られた医療スタッフで多くの患者に対処すべく、まず命にかかわる急
性期病院での処置がスピードアップし、患者が次々に回復期リハビリ病
棟へ移されるわけですから、ピストン式に高齢者が送り込まれた同病棟
は常に飽和状態となります。

そこで完全とまではいかないまでも、高齢者の身体機能がほぼ回復し、
日常生活に支障がなくなる目途が立てば、退院せざるを得なくなるわけ
です。

関連記事

ページ上部へ戻る