20年も指摘され続けている「寝かせきりの状態」とは?

寝たきりの原因とは、長い療養生活において体を動かさないことで、関
節や筋肉が凝り固まってしまう廃用症候群と指摘されて久しく、医療現
場では周囲の手厚いサポートもなく老人を寝かせきりの状態にしておく
ことが問題視されてきました。

今から20年以上前、厚生省が策定した「高齢者保健福祉推進十か年戦
略(ゴールドプラン)」(1989)には、寝たきり予防の実践的施策と
して「寝たきり老人ゼロ作戦」が盛り込まれています。

それを具体化した「寝たきりゼロへの10か条」では、出来る限り寝か
せきりの状態を回避することが奨励されています。

つまりけがや病気でも必要以上に安静するのは逆にデメリットが多く、
むしろ食事や排泄、身だしなみなど基本的な日常行動こそがリハビリの
第一歩であり、早い段階から適度に体を動かすことが薦められています。

加えて、本人の自主性を尊重するために、周囲の介護者も不用意に手助
けすべきでなく、それよりもなすべきこととして、行動範囲が広がるよ
うに室内に手すりやスロープを設置することと提言しています。

さらに同ゴールドプランは数年後に見直され、「新寝たきり老人ゼロ作
戦」(1994)が策定されました。新たな視点として盛り込まれたの
は、地域でのリハビリテーション実施体制の強化であり、老人を寝たき
りにさせないために、医療従事者、介護者である家族、そして地域の住
民が本人の自主性や積極性を一丸となって支えていくというものです。

この新たなゴールドプランを原案として、2000年にスタートしたの
が介護保険制度です。しかし、介護保険制度導入後も寝たきり老人の数
は一向に減ることはなく、それどころか増加し続けています。

つまり過去20年間の政府努力も空しく、老人の自発的な日常生活の営
みが妨げられ、結果、彼らを寝たきりにさせているのです。この状況に
潜む問題を洗い出し、解決策を検討するには、実際の医療現場において、
高齢者が病気やけがから、どのようなプロセスを経て回復していくか、
そこでどのような治療やリハビリ、サポートが行われているのかを検証
することが大事となります。

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