一週間でも寝たきりになってしまう恐ろしさ

老人を寝たきりにしてしまう原因として、長期間、体を動かさないこと
で、体の筋肉や関節が凝り固まり、いつしか動きたくても動けなくなっ
てしまう廃用症候群が挙げられます。これは病気やけがによる療養生活
から導かれると思いがちですが、若者と違って高齢者の場合、日常生活
でもわずかなきっかけで廃用症候群へつながるリスクがあるのです。

私達は歳を重ねていけば、徐々に身体機能が低下し、誰もが体力の衰え
を感じるものですが、老化現象として身体の運動機能が低下したところ
へ風邪などひいて自宅に閉じこもりがちになると、さらに体を動かさな
くなり、この廃用症候群を引き起こすことになるのです。

若者の場合はもともとの身体能力が高く、大けがや大病により一時期入
院して体を動かさなくとも、そのまま寝たきりになることなどありませ
んが、老人の場合は、ちょっとした風邪ですら、寝込むことで体が凝り
固まり、わずか数週間のうちに寝たきりに直結してしまうのです。

なかでも関節は動かさないとわずか一か月で拘縮してしまうため、いと
も簡単に曲げ伸ばしやストレッチ、歩行などが不可能になります。例え
ば股関節が拘縮して固定されてしまうと、脚を広げることが難しくなる
ので、トイレにて自力で用を足せないだけでなく、おむつ交換ですら難
儀になってきます。

ある老人Aさん(72歳)は、自宅のいすから滑り落ちたことで腰椎圧
迫骨折と診断され、激しい腰痛に悩まされました。鎮静剤を飲みながら
の日常生活も徐々に痛みに耐えられず、トイレに起き上がることも困難
になり、わずか一週間後には寝たきりになってしまいました。このAさ
んは治療とリハビリにより2か月後にはポータブルトイレを使えるまで
に症状が回復し、さらにその一か月後には室内を歩けるようになりまし
た。

Aさんのように日常の些細なきっかけにより床に伏しがちになり、体を
動かさないことで簡単に廃用症候群に陥って寝たきりになるケースは珍
しくないのです。このAさんですら、もし治療が遅れていたら、取り返
しのつかないほど廃用症候群が進行し、何年もベッドの上で過ごさなけ
ればならなかったかもしれません。

このように考えていくと、万が一、高齢者がけがを負った場合は、必ず
しも安静が必要なわけではなく、服薬により上手く痛みを抑えながら、
可能な範囲で体を動かしていくことが必要になってくるのです。

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